宮城教育大学環境教育研究紀要 第2巻

 

「カラフルキャンドルを作ろう」

平野 幸枝・芳賀 雅尋・高橋 義則

 

1.はじめに

 宮城教育大学附属養護学校の中学部と高等部の作業学習の時間に、身近にある材料を素材としたリサイクル活動を取り入れた作業を展開している。リサイクル活動として、中学部の手工芸班では、仙台市内のホテル内の生花店の協力により、結婚式のキャンドルサービスで使用したろうそくを活用して、カラフルキャンドル作りを行っている。高等部の紙工班では、学校給食の廃品である牛乳パックから再生紙を作り、この再生紙を素材として、しおりやはがきを作っている。

 カラフルキャンドルは、色々な美しい色や形のろうそくに仕上げるように創意工夫を凝らしている。再生紙のしおり作りでは、学校付近で採集した四季折々の草花を押し花にし、これと組み合わせて押し花しおりを作っている。製作したカラフルキャンドルや押し花しおりは、仙台市内のデパート等で開催する作品展の際に頒布し、好評を得ている。

 今回の活動報告では、中学部の作業学習の手工芸班で取り組んでいる「カラフルキャンドル」の実践を紹介する。

 

2.活動のねらい

 結婚式場で使用されたろうそくを材料としたカラフルキャンドルの制作に取り組みを通して、作業を行う楽しさを味わわせる。

 

3.活動の日時

 12月8日(木) 10:30〜12:00

 

4.活動の対象

 手工芸班 生徒5名

 本校教官 3名

環境教育実践研究センター 青木守弘先生

 

5. 主な活動内容

 ○棒状のろうそくの芯を抜く。※

 ○板状のろうを砕いて、ブロックの形にする。

 ○牛乳パックを切り取り、成形型を作る。こ
  れに芯を取り付ける。

 ○牛乳パックにブロック状のろうを詰める。

 ○溶かしたろうそくを芯のついている成型型
  に流し込む。※

 ○型から外す。

 ※:全員で取り組む。

 

6.手芸班の年間活動計画

 表1に示す。

 

7.授業の流れ

 表2に示す。

 

8.生徒の活動の様子

 作業の前半は、棒状の芯抜きを全員で行った。この芯を抜いたろうを高温で溶かし、作業の後半は、ろうの流し込みを全員で取り組んだ。

 一方、ブロック作り、型詰め、芯付け、型外しは、それぞれ担当者を決めて行った。

○芯抜き(全員)

約50本のろうそくの芯抜きを全員で協力して行った。ろうそくを半分に折る時や芯を抜くときは、手や指の力を必要とする。そして、芯のついているろうそくと芯のついていないろうそくに分けておく。この芯抜きでは、集中して取り組み、15分位で終了した。なお、抜いた芯は再利用する。

○ブロック作り(Y君、M君)

Y君とM君は、板状にしたろうをかなづちと万能べらでブロック状(約5cm×2cm、厚さ1cmのブロック)に砕く作業に取り組んだ。砕いたブロック状のろうは、穴のあいた箱に入れる。穴に入

 

 

らない大きさのろうは再度、万能べらとかなづちを使用して砕く。Y君とM君は、次々と砕きブロックをたくさん作った。

○芯付け(Hさん)

Hさんは、回収した給食用牛乳パックを使って型作りに取り組んだ。パックを半分に切り取り、さらに、中央の所に、芯を取り付ける作業に取り組んだ。細かい作業ではあるが、きれいに仕上げていた。

○型詰め(T君)

T君は、Hさんの作った型にブロック状のろうを詰める作業に取り組んだ。青、紫、ピンク、黄のブロック状のろうから、自分で好きな色を2色ずつ選んで詰めていた。

○型外し(Sさん)

Sさんは、牛乳パックにろうを流し込んで成形したものを取り出す作業に取り組んだ。牛乳パックをやぶく感触を楽しみながら、丁寧に一個一個型外しを行った。

○流し込み(全員)

流し込みは、全員で行った。型詰めしたものに、高温で溶かした白色のろうを流し込む。なお、2つのブロックがきれいに仕上がるようにろうの温度を調節する必要がある。(ろうの融点:45度〜65度)

全員、型からこぼれないように、手元を良く見て行っていた。

 

 

   写真1 芯抜きに取り組んでいる様子

 

 

 

     写真2 型詰めをしている様子

 

   写真3 型外しに取り組んでいる様子

 

 

   写真4 流し込みをしている様子

 


 

表1 手工芸班の年間活動計画について

 

表2 授業の流れ