要 旨:

宮城県花山村にある花山少年自然の家では、「ネイチャーアクテイブゾーン」と題した自然体験構想が進められている。本構想での活用を想定して、同自然の家付近にみられる地形およびそれに関連する現象の、環境教育教材化の可能性を検討した。対象地域は、脊梁山地と中央低地帯という異なる2つの地形帯の境界付近に位置する丘陵地である。丘陵上につけられた遊歩道からの観察は、地図の読図作業と並行して行うことにより、マクロなスケールでの地形理解に資するであろう。地すべり活動の産物である急崖・小丘・凹地といった微地形は変化に富んだ景観を作り出しており、特に急崖(滑落崖)やそこからもたらされた巨大な転石、凹地内にみられる沼などは、視覚的効果や地形的意味のとらえ易さなどの点で、良い教材となり得る。これらの地形を成因的に理解することは、初等中等教育のレベルではかなり困難であるが、地学的現象に関する体験学習の場としてとらえた場合、花山少年自然の家周辺の丘陵地はさまざまな可能性を秘めている。

キーワード:地形、丘陵地、地すべり、花山少年自然の家、体験学習、環境教育