要 旨 :

砂漠化問題は、地球規模の環境問題のひとつであるが日本の環境教育の教材として活用される事例は多くない。本研究では砂漠化問題の現状と各国や国連の対応と課題を整理し上で、砂漠化とりわけ中国内モンゴル自治区の草地劣化の実態を取り上げ、環境教育の教材として取り上げる際の留意点を整理した。留意点の1 つは、草地の劣化が家畜の過剰放牧や生態系を乱す畜種の導入だけでなく土地の個人利用(囲い込み)によって起きていること。2 つは、過剰放牧と土地利用の個別化が人口増加や経済的理由(所得向上、換金度の高い畜種への移行)を背景にしていることである。さらに草地の劣化防止の展望では、社会的背景を踏まえた上での土地利用計画や環境教育の推進が指摘できる。
 キーワード:砂漠化、UNCCD(国連砂漠化防止条約)、内モンゴル自治区、草原、過放牧