要 旨 : モンゴルや中国内モンゴル自治区では、草原の荒廃が進み、砂漠化や黄砂発生の原因となっている。草原の荒廃の要因は、中国内モンゴルでは、商品経済の浸透に伴う家畜の過放牧である。他方モンゴルの草原地域では、遊牧民の減少も草原の荒廃の要因となっている。この研究では、モンゴル国ウランバートル市で進んでいる遊牧民の流入に伴う都市拡大の実態を検討した。牧民たちは市街地周辺の丘陵地に無計画にゲル集落を形成し、生活インフラ未整備による衛生問題や冬季の石炭使用による大気汚染の要因となっている。牧民たちの流入の理由は、子どもたちへの教育機会を与えるためが多かったが、他方で牧民たちの都市の居住拠点の形成も大きな理由となっている。

キーワード : ゲル集落、移民、都市問題、砂漠化、スラム化