宮城教育大学環境教育紀要 第1巻

 

平成9年度フレンドシップ事業報告

  

環境教育「自然を探る」

 

見 上 一 幸・村 松  隆

 

T. 概  要

 今年度、宮城教育大学で実施されたフレンドシップ3事業の一つとして、本プロジェクトは実施された。実施授業科目を全学年対象の教養教育科目「環境教育」(半期2単位)とし、参加対象は小学生とした。学生の環境教育およびフレンドシップ事業に対する関心は極めて高く、われわれ担当者の予測を遙に越えたものであった。すなわち受講希望者が当初予定の20名をはるかに越えた273名の受講登録があった。授業計画上、全員を受け入れることは不可能であり、結果としては30名まで参加人数を調整して実施することとした。学生の指導は、環境教育実践研究センターと連携協力機関である仙台市科学館、宮城県教育研修センターの協力を得て、「環境教育」の授業担当者である見上一幸と村松隆、さらに講師として仙台市科学館の岩渕成紀(指導主事)、壱岐壽夫(指導主事)、宮城県教育研修センターの遠藤和秀(指導主事)が担当した。

 実施形態は、宮城県田尻町教育委員会で実施している社会教育活動の時間枠(土曜日)を使用し、宮城教育大学が主催することとした。子どもと学生がいっしょの活動は、授業内で1日、さらにシンポジウムの際に一部の子どもと1日行われた。授業は、夏休みも終盤の土曜日に行われ、午前中は、植物色素についての簡単な化学実験と水中微小生物の顕微鏡観察実習、午後は地元の蕪栗沼での野鳥、植物、昆虫などの自然観察を行った。

学生からは、実施内容や方法等についてさまざまな問題点の指摘や意見が寄せられた。中には、子どもへの理解を深めることができたので来年も参加したいとか、来年は専門をより勉強して臨みたいという積極的な意見が出され、フレンドシップの企画は学生には好感をもって受け入れられたように思う。参加した子どもからは、来年の夏休みを楽しみにし

* 宮城教育大学環境教育実践研究センター

ているとか、お兄さんお姉さんたちと来年もまた会いとかの要望があった。受け入れ機関の田尻町教育委員会からは、事前に十分な準備期間が欲しいという要望はあったものの、来年度も是非協力したいという申し出を受けることができた。実施担当者の立場からは、長い準備時間と労力がかかり、非常に負担の多い授業で研究すべき課題も多く残されたが、たいへんやりがいのある事業であると評価している。

 

担当者  

 見上一幸 宮城教育大学環境教育実践研究センター 

 村松 隆 宮城教育大学環境教育実践研究センター

 岩渕成紀 仙台市科学館

 壱岐壽夫 仙台市科学館

 遠藤秀和 宮城県教育研修センター 

 

U.実施授業科目としての「環境教育」

1.環境教育実践研究センターとフレンドシップ事業

 宮城教育大学には、今年の4月から環境教育実践研究センターが設置された。 環境教育では、実践が大切であることが常に言われており、その意味で、将来教育職員となる学生と子供たちとの触れあいが、大学の授業として生かされるというのは、環境教育という視点からも重要である。そこで、本センターとしては、今回のフレンドシップ事業を実践教育研究と学部教育への貢献を結ぶ好機と捉え、積極的に参加することとした。

 

2.実施授業科目として「環境教育」を選んだ理由
  と事業への期待
 

現在の本学のカリキュラム体制では、環境教育実践研究センターは免許法相当科目としての授業を出講していない。そこで、出講している基礎教育科目

 

および教養教育科目の中から、教員養成に最も関係ある授業科目として、教養教育科目の「環境教育」を選んだ。この授業は、単位数:2単位、履修対象年次:全学年、夏期集中で行われた。現在、学校で「環境」教育は、教科を越えて実施されており、環境教育が総合科目としての特徴をもつことから、全課程の学生に開かれた授業科目での実施は間違いではないと考えている。

 われわれ授業担当者が「環境教育」の視点から、このフレンドシップ事業に期待したものは、学生たちが、子どもたちに知識を与えることではなくて、学生たちが自然に対して、自らが感じ、問題をみつけ、考える過程を楽しむ、また、子どもたちとのコミュニケーションを通して、子どもたちが感じ、見つけた疑問を、ともに考え楽しむという体験をして欲しいというものであった。実施後、果たしてこのことが実現できたかどうか、自信を持つまでにはまだ多くの問題が残されている。ただ、学生からは、このことをある程度達成できたことを示す感想レポートがあり、われわれとしては大きな励みとなっている。

 

3.極めて高い学生の関心と受講希望に対する対応

 今回のフレンドシップ事業への参加は、環境教育実践研究センターとしてはかなり試行的な側面があったため、本学として受講学生数の制限を設定することは望ましくないと考られている教養教育科目「環境教育」に、やむを得ず20名までという条件を付け、シラバスにその旨を明示し、学生に案内した。しかし、学生たちへの今回の企画に対する関心は極めて強く、当初の我々の予測を大幅に越えたものであった。そすなわち、受講者数を20名までとしたのに対し、受講登録は273名に及んだ。これがわれわれの直面した最初の困難であった。このような学生の環境教育あるいはフレンドシップ事業への関心の高さを考え、当初の計画通り20名で、他の学生を門前払いすることはできないと考えた。そこで、とにかく、授業には270名全員を受け入れることとし、その上で、フレンドシップ実施時点で最大参加可能な人数に絞り込むという考え方に変更した。

 

 

4.学生へのフレンドシップ事前授業

 次章の実施方法の中で詳しく述べられているが、5日間の集中講義の中で、実際に子どもたちとの触れ合いは、1日間だけであり、他の4日は、事前授業を含めた環境教育の講義であった。

フレンドシップでの授業内容については、担当者の専門分野等も考慮しながら、‘子どもたちが豊かな自然環境に触れ体験することが大切である’ことを知る授業内容となるよう努力した。フレンドシップ実践授業では、参加学生たちが、「小学生が、どのように自然環境に触れ、感じるか」ということ学び、どのように指導したらよいのかについて、認識を深めることができるように心掛けた。実践授業に先だって以下の内容で、約4日間の集中講義を行った。

具体的には、1.青葉山の自然、2.水と生命、3.水中の微小生物、4.顕微鏡の取り扱い、5.植物と色素、6.学校教育における環境教育の現状、7.仙台市森林公園と使った環境教育体験 6.コンピュータを用いた生物検索、について講義と実習を行った。 

 さらに、フレンドシップ実践授業では(1)「水田の中の小さな生き物を顕微鏡で見よう」、(2)「植物の葉のいろや花のいろを調べて見よう」、(3)「蕪栗沼の鳥たち」という課題での子どもたちの実習があるため、このための実験実習事前指導を、上記の講義とは別に、30人のフレンドシップ参加学生に行った。

 

V.実施方法

1.「環境教育」授業実施計画

 「環境教育」は、別紙資料1の通り、夏季集中講義として実施した。平成9年8月18日(月)から20日(木)までの3日間は、受講生全員を対象に基礎的、実践的内容について講義を行った。4日目の21日(木)は、台原森林公園での実践実習を行った。なお、受講登録者273名全員がフレンドシップ事業に参加できないことから、予定の20名を30名まで増やして、3&4年生を優先に選考を行った。なお、第1日(18日)の授業開始時に、本講義の概要を説明をして「フレンドシップ授業実践実習」参加希望者の再確認の後、30名の選考作業を行った。

 

2.田尻町で実施した経緯

 田尻町は、宮城県の県北に位置する、人口1万4千、約3、500戸の内陸の町で、ラムサール条約に登録された伊豆沼の近くにあり、水田を中心とする田園地帯である。町内には伊豆沼ほど手の加わらない蕪栗沼がある。そこで、環境教育実践研究センターは、この地域に注目し、この地域一帯をフィールドミュージアム構想の中の「水田・湿地」のモデルフィールドと位置づけ、研究センター内でのプロジェクト研究を行っているところである。この環境教育実践研究センターの活動に対して、日頃から田尻町の協力を戴いていたこともあり、今回のフレンドシップ事業についても全面的なご協力を戴くことになった。その結果、宮城教育大学主催の事業として、田尻町の社会教育活動の枠をお借りして実施することとなった。

 

3.参加学生の担当班別編成

 授業登録者273名の中から、フレンドシップ事業参加者30名を決定したが、さらにこれらの学生を担当別にグループ分けした。担当班は、当日実施する内容別に分けることとし、化学・植物色素担当班5名、水中微小生物担当班7名、野鳥担当班5名、昆虫担当班6名、植物担当班6名とした。午前中の授業は、植物の葉から色素を分離する実験があるため化学・植物色素担当班を置き、また、水中微小生物の観察を行うことから水中微小生物担当班を置いた。午後は、蕪栗沼に出て野外実習を行い、野鳥の観察も行うことから、野鳥観察班を中心に担当することにした。また、夏休み最後の土曜日での実施であったことから、開催地田尻町からは、夏休みの宿題に関わる質問等も持ち込まれる可能性があり、今回のフレンドシップ事業「環境教育」に関わる内容については、学生のみなさんに昆虫や植物について、子どもたちの相談に載って戴けないかという要望があった。そのため、昆虫担当班と植物担当班を設け、これらを得意とする学生を配置した。

学生の学年別構成は、次の表に示す通りである。1年生に植物がやや片寄った傾向はあるものの、概ねうまく分散してくれた。

 

 

担当別学生


        合計 1年 2年 3年 4年以上


化学・植物担当  6名  2  1  0  3

水中微小生物担当 7名  4  0  3  0

野鳥担当     5名  0  0  4  1

昆虫担当     6名  2  2  1  1

植物担当     6名  4  1  0  1


         30名  12  4  8  6

 


 

4.参加小学生

田尻町内の小学校3校(田尻小学校、沼部小学校、大貫小学校)に対して、田尻町教育委員会社会教育課から、今回のフレンドシップ事業についての案内をして戴いた。その結果、予定を上回る小学生42名から参加希望があり、さらに保護者29名、合計71名の申込みがあった。

 

参加小学生数 (田尻小学校、沼部小学校、大貫小学校)


小学生総数 1年生 2年生 3年生 4年生 5年生 6年生 保護者


42名 6 7 7 6 10 6 29名


 

5.日  程

 田尻町は宮城県の県北にあり、大学のある仙台市から車で約1.5時間の距離にある。実施日の前日午後、田尻町公民館に教官および学生有志約10名で機材の搬入を行い、会場の設営を行った。

 当日、参加学生は8時15分に大学に集合し、以下のような日程で実施した。

8月23日(土)

午前 8:15 宮城教育大学、萩朋会館前に集合

 午前8:30 マイクロバスで大学を出発

午前9:45 会場(田尻町中央公民館)着、

  9:30 受け付け開始:参加する子どもの登録

(田尻町教育委員会社会教育課で受付を担当) 

10:00 開始

1.田尻町の挨拶

2.フレンドシップ事業の趣旨説明(見上)

3.学生の司会(越中君)による進行 教官の紹介、
学生の自己紹介

今日の実験観察実習について解説

(化学実験、水中微小生物、野鳥観察) 

12:30〜1:15 昼食のための休憩

1:15 午後の部  開始

1:15〜1:35 蕪栗沼の鳥について(岩渕)

  指導学生からの野外観察内容の説明 

(1:40 中央公民館をマイクロバスで出発)

(1:55 蕪栗沼着)

2:00〜3:30 蕪栗沼で鳥と自然を観察

3:30 全員マイクロバスで公民館に移動

3:45 解散式挨拶(村松)

  参加した小学生は解散、学生および教官は
マイクロバスで大学に戻る 

5:00 大学着

5:00〜6:00 反省会 

6:00 解散

 

W.実施内容

1. 水田の中の小さな生き物を顕微鏡で見よう

(学生指導 見上一幸) 

 田尻町一帯は水田を主とする農作地域で、町内には雁などの渡り鳥の飛来地として伊豆沼とともに有名な蕪栗沼がある。子どもたちにとって水中の小さな生き物を観察することは、単に微小生物の世界を知り、不思議な形をした小さな生き物の存在を知るだけでなく、将来、水質浄化のメカニズムについて考えるとき助けにもなると考え、今回の企画を立てた。この地域は、県内有数の水田湿地であり、また渡り鳥の飛来地としても有名であることから、水と自然環境と生物とについて学ぶことは特に意味のあることである。

 子どもからの質問等については、参加学生全員があたったが、答えられない場合には、水中微小生物班の7名が担当した。それでも答えられない場合は、教官が指導担当の学生に対応した。

 子どもたちにとって、顕微鏡観察が初めての子どもも多く、また、微小生物の観察をしたことのない子どもが多かったため、見えたときの驚きは大きかったようである。昼食の時間が来ても、顕微鏡を離れようとしなかった子どももいた。今回は、これらの生き物が、水質の浄化にも係わっているところまでは、示すことはできなかったが、蕪栗沼や近くの水田でにこれらの生き物がたくさんいて、食物連鎖の一部を担い、環境浄化にも係わっていることを示すことができると一層、環境教育としての効果が期待できると思われる。全体の流れを考えると、午前中に内容を盛り込み過ぎたようにも思う。一つ一つの生物について、学生の解説を行うなど、次回はさらに工夫の余地が残された。

 

2. 植物の葉のいろや花のいろを調べて見よう

(学生指導 村松 隆) 

 子供たちが何気なく眺めている葉っぱや花びらを材料として、それらに含まれている色素を簡単な方法で取り出し、色素の種類や色調変化について実験観察を行う。自然の素材を使った色あそびの感覚で、学生と子供たちが一緒に実験を行い、自然の豊かな色彩について学ぶことをねらいとした。実験テーマとしては、緑葉に含まれる色素を分けて、それぞれの色素の色を観察すること、および、赤色や紫色の花びらに含まれる色素を取り出し、液性による色の変化を観察することである。田尻町公民館のホールの中に3つの簡易な実験台を作り、子供たち全員が実験観察を行えるように3つの実験台に6班分の実験器具を準備した。各班に1名ないし2名の学生を配置し、子供たちとのふれあいを持たせた。

(1) 緑葉に含まれる色素の種類を調べよう。

 緑葉を細かくすりつぶし、アセトンとメタノールの混合溶媒で、緑葉中に含まれる全色素を抽出し、薄層クロマトグラフィーにより、色素成分の分離を行う実験である。緑葉中の主要な含有色素成分はクロロフィルなので、抽出した溶液は濃い緑色となるが、薄層クロマトグラフィーにより、青緑色のクロロフィル a、黄緑色のクロロフィル b、黄色のβ-カロチン、およびルテインなどを分離することができる。実験操作も難しいことはなく、実験開始後、約45分で一連の操作を終えることができた。小学生にとって今まで経験したことのない実験であったので、毎日、何気なく眺めていた緑葉に、様々な色素が含まれている事実に驚いた者も多くいた。

(2) 赤や青紫色の花びらに含まれる色素を取り
    出し、その性質を調べよう。 

 この実験では、花びらに含まれるアントシアニン色素を抽出し、抽出液を pH の異なる水溶液に加えると、pH の違いによって、赤色、青色、緑色、黄色など、異なった色の発色を観察できる。花びらの種類によっては、性質の異なるアントシアニン色素が含まれているので、同じ pH 溶液でも微妙に異なる色調をみせる。子供たちが実験を行っている様子を観察していると、あたかも、絵の具の色あそびの感覚で、楽しみながら実験を行っていたが、絵の具の色と違って、自然の材料を用いて、これほどたくさんの色を発色できることに驚きを示した者も多く、子供たちが最も強く興味をもった実験であった。

 以上の実験では、あくまでも小学生を対象としているので、楽しみながら実験観察が行えるように、実験操作の簡易化を図った。特に、子供たちは、試験管、ピペット、フラスコなど、目新しいガラス器具類を使った操作に興味を覚え、終始熱中して実験を行っていた。学生は、予め、実験に関する講義を受け、予備実験を行っているので、実際に起こっている変化を眺めながら、子供たちに実験内容を解説するなど、積極的に取り組んでいた。また、子供たちからの質問に対しても、難しい質問については教官が答えたが、おおむね適切な回答をしていたようである。

 今回のフレンドシップ事業は、初めての試みであり、環境教育という講義の一環として位置づけられたものなので、学生にとっては必ずしもフレンドシップの意義や目的を十分理解して参加したとは言い難い。自然のものを材料に、遊びの要素を取り入れて子供たちと共通した題材について実験を行い話合うという試みは、ある意味できわめて難しい側面を持つが、学生にとっても、また子供たちにとっても今回のフレンドシップは強烈な思い出と印象を残したに違いない。しかし、参加した学生のほとんどが1年次学生であり、実験内容について十分な理解と経験を持たないので、子供たちへの対応も消極的で遠慮しがちな学生も見受けられ、事業の難しい一面も覗かせた。今後、フレンドシップ事業を継続して行うためにも、事業内容と事前指導についてさらに検討と工夫が必要であると思われる。

 

3.蕪栗沼の鳥たち(学生指導 岩渕成紀)

 蕪栗沼では200種を越える鳥類が確認され、レッドデータブックに記載されている種が29種にも及ぶ。また、日本でも数少ない雁の飛来地であり、淡水性魚貝類、湿性植物、湿地性トンボをはじめとする昆虫など生物相が豊かである。このように豊かな自然を持つ地域の子どもたちに、郷土の自然を誇りに思い、学生とともに自然への理解を深めることができるよう、蕪栗沼の自然観察を行った。

 ここで繁殖する小鳥類は、オオヨシキリ、コヨシキリのヨシキリ類2種とアオジ、ホオアカである。しかし、アオジは1996年のヤナギ類の大量伐採によって激減している。沼内にはマコモが広く分布しており、マコモ帯内にヨシゴイがコロニーを作り高密度で繁殖している。また、バン、オオバン、カイツブリの繁殖も確認されている。さらに沼周辺の丘陵にはサギのコロニーが多く見られ、ゴイサギ、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、アマサギが繁殖している。なかでもチュウサギは全国でもその生息数が激減しており、その繁殖が確認されていることは重要である。旅鳥であるシギ・チドリ類も内陸性のタイプの種類がかなり利用している。9月からは、ガン類が観察ができる。マガンは1993年以降10000を越える数が見られ、1997年には35000羽を越えた。オオヒシクイは1992年から500羽を超える数が塒と採食の場として蕪栗沼を利用している。とくに、伊豆沼では餌となるマコモが激減していることもありオオヒシクイの蕪栗沼の利用傾向はここ数年顕著である。

 今回のフレンドシップ事業では、観察会が8月に設定されていたために、最も鳥相が薄い時期に観察がなされた。それでも34種の鳥が観察できた。

 今回の観察では、特にサギ類の幼鳥が多く観察できた。これは今年の繁殖の成功率が高かったことを示す。また、観察終了間際にアマツバメの渡りを観察できた。全体として、鳥類に関する観察経験が学生、児童共に少なかったために、また、一度に観察する人数が多過ぎたために鳥との距離が離れすぎて、フィールドでの観察に集中できずに目的意識も無く過ごした様子が多く見られた。鳥へのインパクトを少なく観察するための方法を児童自らが考えるなど、観察の方法を工夫する必要性があることを強く感じた。

 

X.学生のレポートからみた「フレンドシップ
 事業が実践的指導力を育むのに果たす役割」 

 参加した全学生が、異口同音にこの事業が有意義なので継続してほしい、チャンスがあればまた出席させて欲しいといっており、肯定的であった。しかし同時に、実施方法や内容についてはさまざまな不満も聞かれた。学生のレポートの中からの感想を拾い、「フレンドシップ事業が実践的指導力を育むのに果たす役割」という観点からまとめてみた。

 

1.教育実習までの1ステップとしての教育実践経験

 学生からのレポートや反省会での感想からもわかるように、今回のフレンドシップ事業は、教育実習をまだ経験したことのない多くの学生にとって、指導者として子どもたちの前に立つはじめての機会となった。

フレンドシップを終えた後の感想としては、例えば

1) 「最初は緊張してこどもどもたちに馴染むことができなかったが、時間が経つにつれて、打ち解けてきて、勉強以外の話等もできた。」(学生 EO)とか、 

2) 「最近の子どものイメージというと悪いことばかりだと思い込んでいた私は、何だか妙に安心してしまいました。」(学生 SA)いう感想があり、最初は戸惑いながらも、時間を経るにつれてだんだんと慣れていく様子が伺えた。 

3) 「フレンドシップに参加して、いろいろな子どもがいるのだということを改めて感じました。この子に対してどのように接するのかが一番ベストなのかが判断できるようになりたいと思うが、戸惑うことが多かった。全体的にフレンドシップは楽しかったですが、ただ楽しいだけではなく、子どもの気持を第一に環境というか自然への関心を高めることを考えてゆきたい。」(学生 SK)など、反省と抱負の一端が感じられた。 

 

2.教育実習とは異なる機能

 これまで、学生が子どもたちと触れ合う機会は、教育実習のみであった。教育実習との違いについて意見を言ってくれた学生もいる。例えば、「教育実習は、期間も短く、いろいろなことに縛られがちで自由さがないような気がする。だから、1、2年のうちにこのような経験ができたらとてもいいだろう。すごく気軽にそして自然に子ども達と接することができるから。」(学生SN)

 

.子どもに対する発見のよろこび

 まず、子どもたちと接することができて良かったという感想としては、

1) 「私は水中微小生物を担当したのだが、子ども達と一緒にプレパラート上の微生物を探したり、それを調べたりするのはとても楽しかった。文系の人間で前期に一つも自然系科目は取っていないため、教えられることがあまり無かったのだが、逆に興味を持って一緒に取り組むことができたので良かったと思う。」(学生AC)とか、 

2) 「子どもの反応は予想と違うときもあったが、自分で次々とプレパラートを作り、顕微鏡へ急ぐ姿を見てうれしかった。昼になっても、まだ、顕微鏡から離れようとしない子どものいたのに驚いた。」というように発見や自分の役割に満足のようすがうかがえる。 

3) 「夏休みの自由研究をしている子が多かったと思う。午後に蕪栗沼に行くと、本物の野鳥を見て子ども達はすごく素直に喜んでいた。最近の子どものイメージというと悪いことばかりだと思い込んでいた私は、何だか妙に安心しました。」(学生 SZ)

などのように、子どもとともに観察を楽しみ、子どもたちへの発見もあったようである。 

 

4. 指導者としての自覚(傍観者では済まないと
   いう自覚) 

 気軽に参加し、通常の講義を受けるような気持参加した学生も少なからずいたように思う。その結果、例えば

1) 「現地に着いてから何をしていいのか、きちんと把握できていなかったことである。その事によって、子どもに話し掛けても、どうしたら良いのかわからなくなって右往左往する結果になってしまった。また、こどもたちに話し掛け辛くなって、一人でいたりするのが多かった気がする。」(学生 AB) 

2) 「全体的に見て、子どもと学生も楽しく一日過ごせたと思う。こうした子どもと触れ合う機会が多いほうがその度にいろいろ学べることがあると思う。その回毎の目的がはっきりしていれば得るものは多いと思う。今回はその点で何を得たのか考えてみるとぱっと浮かぶものがなく、ただ楽しくこども達と遊んだだけだったような気がする。」(学生 YM)

さらに、自分にもっと厳しく反省している者もいた。 

3) 「子ども達の自主性を欠いてしまったのではないか。子ども達に注意すべき時、今回だけだからと注意をしなかったこと。自分自身が子どもに戻り過ぎてしまって、子ども達と共にふざけすぎてしまったこと。」(学生 SA) 

4) 「フレンドシップの目的に反し、あまり子どもたちと打ち解けることができなかった。もし次にこういう機会があったらその時はもっと自分から積極的に動いてみたい。」(学生 KT) 

5) 「帰りのバスで隣の子に吐かれてしまうというアクシデントがありました。極力、自然に対処しようとしましたが、上手にできませんでした。バスに乗りはじめた頃から具合が悪そうだったのですが、疲れているだけだと思い、大丈夫かと声をかけるくらいで、体調を気遣ってあげられなかったのが心残りです。何もかも、実際に子供達がいないと体験できないことばかりで、とても勉強になりました。このような機会がまたあれば是非参加したい。」(学生 EC)という自己反省もあった。 

 

5.専門性(教職、教科)の重要性への気づき

 学生といえども子どもと父母の前に立てば、いやおうなしにプロの卵として扱われ、大人の見る目は厳しい。

1) 「父兄の方々は私達を環境のエキスパートと思っているようでした。鳥や植物のことを全く知らなくて父兄の方々から質問されたのですが、答えられませんでした。」(学生 SS) 

2) また、たとえ小学生たちに対してであっても、きちんと専門の知識が大切であると感じた学生もいた。 

 「子ども達と大学生がきちんとコミュニケーションをとれていたかどうか、という事と大学生の側がいまいちきちんとした知識を持っていないまま臨んでしまっていた人が多かったのではないかと言うことである。」(学生 MG)

 

6.環境教育の視点では、

 「実際に蕪栗沼に行ってみて、私の家から歩いてもいける距離だったのに、そこに野鳥がいるということも知りませんでした。自然に恵まれた地域に住んでいながらも、いかに自分が自然に無関心だったかに改めて気づかされ、はっとしました。」(学生 OD)

 最後に、私たちが期待したことを感想として寄せてくれた学生もいた

「私は子ども達と一緒にプレパラート上の微生物を探したり、それを調べたりするのはとても楽しかった。文系の人間で前期に一つも自然系科目は取っていないため、教えられることがあまり無かったのだが、逆に興味を持って一緒に取り組むことができたので良かったと思う。」(学生 NY)

 

7.フレンドシップ事業について

 1) すでに理科で行ったフレンドシップ事業に参加した学生は、

「ああ、こういうものかな、とは思ってはいたが、やはり対象の学年が違うとこんなにも感じが違うものかなと思った。中学生が相手のときは、教えるという意味合いがとても大きかったのだが、小学生が中心の今回は、いっしょにしてみようという考えで参加できた。」(学生 WT)といっている。 

2) 「L 課程で教員になるつもりのない人でも、子供と共に学ぶことで環境教育を考えられた。そういう意味でも良い企画だった。教室でただ話を聞くだけよりよっぽど学ぶことが多かった。」(学生 CB)

  というように、意義を感じており、フレンドシップ事業は無駄だとか、意味がないなどという感想は全くなかった。 

 

Y.子供たちから見たフレンドシップ事業

 今回の事業では、社会教育活動としての枠の中でやり、学校が直接関わっていなかったこと、また、低学年の子どもも多く、当日は限られた時間の中で、なるべく子どもたちに義務を負わせたくなかったことから、敢てアンケートはとらず、学生と子どもたちの関係を、学生の目と耳を通した形で集計した。実習中の生徒に聞いたところでは聞いたすべての生徒が楽しいといってくれ、また、表情や態度にも現れていたように思う。さらに、田尻町教育委員会からは、子どもたちの評判がよかったので、是非、来年も田尻町を使って欲しいという要望を戴いた。このことからすると、多くの子どもたちは、このフレンドシップ事業を肯定的に捉えていたように思う。

 実習後の反省会でも、子どもたちに聞くと異口同音に楽しかった、またやって欲しいといってくれた。しかし、実際には物珍しさと、お兄さんお姉さんと遊んでもらって楽しかったという部分が大きかったことも考えられる。

 環境教育の観点からも、今回のフレンドシップの役割が見いだせる。すでに述べたが、参加した学生の中にこの地域の出身者がいて、その学生は「実際に蕪栗沼に行ってみて、私の家から歩いてもいける距離だったのに、そこに野鳥がいるということも知りませんでした。自然に恵まれた地域に住んでいながらも、いかに自分が自然に無関心だったかに改めて気づかされ、はっとしました。」という感想をレポートに書いている。子どもたちにとっても、大学生達が仙台から来て、午後の半日を使って蕪栗沼の自然を素晴らしいものだと教えてくれたことから、子どもたちが、自分達の郷土の自然に自信を持つことができたようだと聞いている。

 

Z.フレンドシップ事業担当者からみた問題点

1.事前指導に関わって

 これらの感想の中で、今後の実施で配慮すべき点の指摘としては、

1) 「実際に沼に出かけると、多くの男の子たちは、鳥よりもお兄さんと遊ぶことにばかり気が行っている。それぞれにお気に入りのお姉さんやお兄さんがいて、なかなか鳥には気が向かないようだった。」(学生 KJ)とか、「炎天下の下で疲れきった様子で、つまんないんだな、と思った。自分の力不足を感じたし、残念だった。ただの馴れ合いで、せっかくの蕪栗沼との出会いのチャンスを無駄にしていたように思う。」(学生 KJ)

  というように、このような事業で陥りやすいようす  もあったことが述べられている。

2) 「楽しかった。私は化学実験の担当だったけれど、なんとかうまくやることができてよかった。けれど父兄の方に何のためにこの実験をやるのかとその異議を問われて困った。実験の目的、意義ををちゃんと用意しておいたほうが良いと思う。」(学生 KT)

と、今回の趣旨内容を十分理解し説明できなかった学生もいた。また、 

3) 「ボルボックスやミドリムシを顕微鏡で見ても何もうつってないことが多くて子供たちががっかりしていました。もう少し自分達がリハーサルをしっかりしていれえば、このようなことはなくてすんだと思う。」(学生 TA) 

4) 「実験の説明は、前日受けただけだったので、子供達をうまくリードできなかった。説明の前に実際に自分で一度やってみる必要があった。」(学生TT)というように、事前の学習が十分でないことを示すことが述べられている。そして、専門的な基本がいかに大切か、ということを言っているように思う。今回は、低学年の学生がこういう感情をより強く抱いたようである。専門教育をまだ十分受けていない1、2年の学生についてフレンドシップ事業への参加について、その方法・内容等検討すべき課題が残された。それぞれの専門性にあわせて、学生たちが自信を失わないような、しっかりした事前の専門教育が大事である。

 また、フレンドシップ事業は、学生も子どもも、ともすると単に遊べて楽しかったということになりがちである。このようにならないための事前指導が重要である。実験機材は、大学および一部は仙台市科学館の協力を得て、準備したが、それでも一部足りない実験器具等があった。「望遠鏡や双眼鏡の数が少なく、自由に見ることができず、自分から見せてと申し出る積極的な子が少ないため、見る時間が少ない子供がいた。」という学生の感想にもあるように、出張授業の難しさを示す内容のものもあった。今回は、10台の顕微鏡を持参したが、望遠鏡・双眼鏡については、大学としても備品が整っていないので早急に対応しなければならないと思う。

 今回は、事前の現地下見は1日だけであったが、「学生には、一度の下見では不完全です。来年は合宿制にして時間をたっぷり使えればよいと思います。」(学生 FY)という者もいた。来年度は注意すべき点である。

 

2.学生が専門的知識不足を強く感じたこと

 1) 「肝心の勉強の話は、こちらの勉強不足もあり殆ど先生方に頼ってしまいました。もう少し準備がしっかりとできたら、子供たちに分かりやすく教えられただろうと思いました。」(学生 EC) 

2) 「大学生側の知識のことであるが、実験でも本格的にやった人達は分かっていたかもしれないが、昆虫や植物担当の人達はどうしても知識が少なく実験方法も完璧ではなく、失敗ばかりで子ども達を飽きさせてしまったような気がする。子ども達の疑問に答えるくらいの知識ときちんとした実験方法を正しく理解した上で、これに臨むようにすべきではなかろうか。」(学生 MG) 

 これらの意見は、事前実習が十分でなかったことを示すと同時に、学生達が教師としての専門性、教科の専門性の重要さについて強く感じたことを示していると思われる。

 

3.保護者同伴参加の是非

 今回参加したこどもたちは郡部の子どものためか、都市部の子どもと比べると、全体としては引っ込み思案のような気がする。その子どもたちが保護者同伴での参加であったため、「父兄にべったりの子どもがいて、参加しようとしないこどもどももいて、父兄とはある程度別れた方が、フレンドシップは成り立つのではないか。」(学生 EC)という意見や、「余りにも大人たちが多すぎて子ども達が親に頼ってしまい、大学生が親を通してしか接触できないことが多かったと思う。子ども達は、分からないことがあったり、質問があったりしても私たちでははなくどうしても聞きやすい親に聞いてしまうことが多く見られた。だから、今度は、私たちと小人数の大人たちだけにしてもらってもう少し子ども達と大学生の距離を狭くすべきである。」(学生 MK)という意見があった。

 

4.連携機関との関係

 このフレンドシップ事業は、連携機関の協力がなかったら実行できなかった。開催地である田尻町教育委員会からは、次回に向けて以下のような貴重な意見を戴いた。

1) 田尻町の企画課で対応して戴いたが、年度の始まる少し前の事業企画準備の時期に提案して戴きたい。 

2) 実験はこどもにとって少し難しかったかもしれないが、体験の一つのステップにはなった。 

3) フィールドでの学生の指導を見て、できれば子どもに教えるという観点から強弱を付けて欲しい。 

4) 対象が小学生であったということはよかった。素直に聞いてくれたと思う。

というような率直な感想を戴いている。これらは、今回のフレンドシップ事業について、基本的な点についての指摘であり、真摯に受けとめ、来年度のフレンドシップ事業に生かしていきたい。 

 

5.フレンドシップ授業後の交流会とシンポジウム

 交流会の冒頭で、スウェーデンの自然回復計画のリーダーで鳥の_35研_35究家でもある Lambart H. R. von @KNEssen @KN博士の、「自然とともに生きる−スウェーデンの湿地−」と題する講演が行われた。講演後、エッセン夫妻を囲んで、大学生(約10名)と小学生約10名がエッセン氏への質問などをはさみながら、懇談した。だだ、残念ながら、小学生、大学生ともに出席が多くなかったこともあって、フレンドシップ事業当日ほどの賑わいはなかったが、楽しい一時を過ごすことができた。子どもたちにとっては、外国の専門家が自分達の町に来て、自分達の蕪栗沼を見にきてくれ、サンタクロースの国の森や湖の話、ニルスや渡り鳥の話に聞き入っていた。子どもたちにとって自然を知り、外国を身近に感じる素晴らしい時間になったようである。学生達の一部は、エッセン氏と夜遅くまで話し、同じ宿舎に泊まり、学生にとっても得がたい一時を過ごすこととなった。

 

シンポジウム参加者

青木史朗 田尻町教育委員会 社会教育課課長補佐

池内俊雄 日本雁を保護する会 会員(鳥類・農業)

岩渕成紀 仙台市科学館 指導主事 (鳥類)

呉地正行 (NGO)日本雁を保護する会 会長(鳥類) 

進東健太郎 日本雁を保護する会 会員(魚貝類)

村松 隆 宮城教育大学環境教育実践研究センター 
     助教授(環境教育) 

見上一幸 宮城教育大学環境教育実践研究センター 
     教授(環境教育) 

その他、宮城教育大学フレンドシップ参加学生

約10名

 

 今回のフレンドシップ事業の反省の意味も含めて、「自然とともに生きる」いうテーマで、シンポジウムを行った。田尻町教育委員会からは、次回に向けて以下のような貴重な意見を戴いた。今回の事業の対応をして下さった田尻町の企画課では、受け入れ側としてもこのような事業を行うには事前の十分な準備が必要で、今回は少し性急であった。もう少し期間をかけて準備する時間が欲しいこと。特に、新年度に入る前に提案して欲しいという要望が出された。また、フィールドでの学生の指導を見て、できれば子どもに教えるという観点から強弱を付けて欲しい。まだ、教師として十分な指導を受けていないのではないか、という指摘も受けた。此れに対して、学生からは、自分達は父母から若いながら環境教育のプロとして見られていたので、大学ではもっと専門の勉強をしっかりやりたいという反省があった。

 反省の中で、今回の実験は子どもにとっては少し難しかったかもしれないのではないか、という指摘もされた。しかし、その一方で、中学年、低学年の生徒が真剣に、飽きる様子もなく、試験官やペーパクロマトを離さず実験しているようすからは、満足している様子も伺えたという指摘もあった。

 今回の事業が成功であったのは、相手が小学生であったことにもよるとの指摘もあった。田尻町の青木氏の指摘では、見るもの聞くものが素直に聞き入れられていたようであった。これも小学生だったからかも知れない。参加した学生からはも、4月に行った別のフレンドシップ事業では中学生を対象に行ったが、最後まで集中してくれず、今回は小学生が参加学生を素直に受け入れてくれてたいへん助かった。

地元若柳町に住んでおられる進藤氏は、魚、中でもゼニタナゴの研究で有名な方で、その研究をベースにしての本事業への期待を発表された。また、鳥のガンについてロシアとの連携研究をされている池内氏は、渡り鳥の立場からのご意見を頂戴した。さらに、雁を保護する会の会長でもある呉地氏は、蕪栗沼についてはまだ情報の蓄積がないことから、フレンドシップ事業を通じて、一層有効なメニュー作りを行うとともに、よりよい教材作りをしょうという提案があった。

フレンドシップ事業をきっかけとして、蕪栗沼に関わる研究者や教育者が連携を深め、子どもが興味をもつ切り口で、学生が一緒に教材をつくる活動に発展させようという目標まで決まり、地域教育に大きく貢献できることとなった。

 

[.次回に向けての要望(反省会から)

 学生たちに、また来年もフレンッドシップ事業を実施するとしたらどのようなことを期待するかということに対して、

1) 「授業の内容を学生が決めたらもっと面白く
   なると思う。」(学生 SD) 

2) 「大学生の学年がばらばらで、教える側の団
   結力がない。当日までにチーム内で十分話し
   合いをすべきであった。」(学生 YC) 

3) 「学生には、一度の下見では不完全です。来
   年は合宿制にして時間をたっぷり使えればよ
   いと思います。」(学生FY) 

4) 「今回は夏だけだったが、春夏秋冬みること
   ができるといいのではないか。」(学生 MT) 

5) 「授業の内容を学生が決めたらもっと面白く
   なると思う。」(学生 SD) 

6) 「できるなら一つのことをじっくりと行った
   ほうが良かったのではないかと思います。ま
   た、一日で一つのことをおこなうのではなく、
   何日かこのような授業をおこなうことで、こ
   どもたちを知ることができ、私たちを認識し
   てくれるのではないかと思います。」(学生
   KT) 

 

 学生の意見は、いずれもフレンドシップ事業を肯定的に受けとめ、来年度も実施されれば積極的に参加したいというものであった。今年度単位を取得した学生は、来年度参加しても単位にはならないが、受け入れ学生数の枠を拡大することで、熱意を持つ学生には参加の機会を与える工夫をすべきと考える。