要 旨 :

現在、環境問題が地球全体並びに地域の問題として表れ、環境教育の重要性が増している。環境教育は、人間と自然環境との関わりを認識させることを1つの課題としているが、地理教育もまた同じパラダイムを議論してきた。本研究では、環境問題を正面から扱う既存の教科である地理の教科書が、どのように環境問題を取り扱ってきたかを戦後の教科書内容の変遷と現行の教科書内容に注目して検討した。具体的には、日本と韓国の高等学校で使われている教科書の分析を通じて地球規模の環境問題の取り上げ方を検討した。
現行教科書を分析した結果、両国とも環境問題の用語・写真・資料は「世界の環境問題」や「国土開発と環境保全」といった単元にまとめて提示されていることがわかった。しかし、環境問題は、それが直接表れている地域や項目で議論されてはじめて生徒達の認識が深まるものなのに、教科書においてその点の工夫が十分でない。環境教育に対応した地理の教科書の編成の工夫も必要となっている。
 キーワード:環境教育、地理教育、教科書、日本、韓国、高等学校