宮城教育大学 学長 横須賀 薫

    文部科学省 科学技術・学術政策局次長 井上 正幸

   ジャック・T・モイヤー (Dr. JackT. Moyer)
 三宅島をフィールドとする海洋生態学者でナチュラリストである。1929年アメリカ合衆国カンザス州に生まれ、朝鮮戦争に従軍のため来日し、軍務の傍ら鳥類研究に携わる。当時、三宅島近海の三本岳の貴重な海鳥カンムリウミスズメが爆撃演習のため危機に陥っていることを知り、トルーマン大統領に直訴して計画中止に貢献。その後、三宅島に移住し、教師を続けながら海洋生物学者として主に魚の生態を研究、クマノミの性転換やヤッコ属の繁殖生態など、数々の業績を残している。また、海洋生物研究の過程で海洋の環境、さらに地球環境全体の悪化を懸念、そのためには教育が大切であるという信念から自然保護にも尽力した。自然環境教育プログラムを開発して子どもたちを対象に教育実践している。現在オーシャン・ワイルドライフ・ソサエティー会長。三宅島ネイチャーセンターの顧問を務め、三宅島噴火避難後も各地で講演活動や環境教育を実践している。

   ポール ウィリアムズ(Dr. Paul H. Williams)
 ウィスコンシン大学マディソン校の名誉教授で植物病理学を専門とする。アブラナ科の植物の世代短縮の研究で世界的に有名で、ファスト・プラントと呼ばれる探究学習や課題研究のためのモデル教材生物の開発を行ったことでも知られる。狭い学問領域に限定せず、広く博物学や環境教育、遺伝学、発生学、病気に強い植物の開発など多角的なアプローチを行う生物学者である。彼のつくり出したファスト・プラント保存株の種子は、病気に強いアブラナの開発や教材として、世界中に配布されている。ウィリアムズ博士は、植物学や博物学を学ぶことの喜びを、世代を超えて人々に味わってもらえるような努力を続けてきた。ウィスコンシン大学マディソン校にあるウィスコンシン・ファストプランツ・ボトル生物学プログラム (Wisconsin Fast Plants and Bottle Biology Programs) (http://www.fastplants.org) は、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスなど、10万人をこえる教師の研修に採用されている。また、毎年8万人を超える学生がウィスコンシン・ファストプランツを活用して勉強している。
   Vicki Keliher (Australia)
   Alisara Chuchat (Thailand)
   Heiko Crost (Germany)
   樋口 利彦 (東京学芸大学))
   齊藤 千映美 (宮城教育大学)