6 フィールドミュージアムの提案と実践指導

 自然教育教材として、宮城県の地勢を活かした地域性に富んだフィールドミュ ージアムの適地を選定し、その提案を行う。これら選定の対象となるフィールド はすでに本学教官による研究成果の蓄積があり、今後とも現地調査が継続的にな される地域である。
 フィールドミュージアムは地域の児童生徒はむろんのこと、 本学学生のフィールドワークのトレーニングの場であると同時に、地域住民に対 する自然教育と環境理解のための生涯学習活動の拠点でもある。本センターはそ のための実践指導と支援を行う。
 
地域自然を生かしたフィールドミュージアム

 南三陸金華山国定公園のリアス式海岸と金華山、海と山の保護を視野に入れた 栽培漁業のモデル地域である三陸海岸、栗駒国定公園の栗駒山系を中心とした森 林と高山植物、鳴子・川渡の温泉地熱と段丘植生、ラムサール条約指定登録地の 伊豆沼・内沼サンクチュアリーセンター、北上山地から南下する北上川と阿武隈 山地から北上する阿武隈川、日本有数の稲作地帯である仙台平野、松島・奥松島 の海岸域の貝塚と動植物、蒲生干潟と鳥、蔵王国定公園の蔵王山系を中心とする 奥羽背梁山地の火山列、県南部白石川渓谷と七ケ宿町の山間地景観、そして人口 100万都市の仙台など、鉱山跡、縄文・弥生遺跡、産業遺跡、歴史街並み、神社 仏閣、集落・都市などを含んだエコミュージアムとしての要素をもったフィール ドミュージアムの適地選定は地理的条件から事欠かない。
 これらの県下における フィールドミュージアム適地の提案をできるだけ早期に印刷物として纏め上げ、 フィールドミュージアムを活用した環境教育の普及をめざす。本学には教員養成 大学として多くの分野の専門領域からなる教官から構成され、なかでもフィール ドワークによる研究手法を実践している研究者層に恵まれている。多彩な領域を カバーする研究者集団を組織し、エコミュージアムの選定・設計を含め特色ある 実践研究活動を行う。

青葉山自然公園

 本学キャンパス周辺の青葉山一帯は本学創立以来30年間、それぞれの分野での フィールドワークの場として活用されてきた実績がある。近年、仙台市は仙台市 街域に近い森林公園として、市民いこいの場の提供と同時に自然教育をも意図し た緑地公園化を計画し目下整備中である。これらのプログラムに環境教育と自然 教育の側面から企画協力し、さらにソフト面での充実に協力する。
 青葉山公園一 帯は森林、植生、動物、野草、地形、地質、鉱物、化石、土壌、土壌動物など、 ありとあらゆるフィールドサイエンスの素材にめぐまれた類まれな地域である。 青葉山は古くから自然科学界での幾多の俊英を育んだ場であり、青葉山の自然素 材を対象とした研究成果の蓄積は枚挙の暇もないほどである。、立地条件に恵ま れた自然環境である青葉山地域を教員養成教育の自然体験教育のトレーニングフ ィールドとして活用できるようにする。
 また、これまでの散逸しているデータを 整理し、学内外の研究者の協力を得て市当局と連携し、市街域近傍にあるフィー ルドミュージアムとして活用するための普及冊子を刊行する。 

 

スーパーネイチュアリングセンター

   人類学を担当する本センターの伊澤紘生教授と本学卒業生(小・中学校教員)に よる宮城県金華山で進めている環境教育実践プログラムは「島はそっくり野外博 物館」として全国的に著名である。スーパーネイチュアリングセンター構想とし てとりくまれている自然教育プログラムは、すでに多くの実績をあげており、高 い評価が与えられている。


運用グループ:w3-env@ipc.miyakyo-u.ac.jp
概要へ  戻る