スーパーネイチュアリングセンター

スーパーネイチュアリングセンター(Super Naturing Center:SNC)とは、野生 の動植物を中心とした生態調査を基礎に、自然のもつ豊かな教育力を積極的に発 掘し、知的感動(Sense of wonder)に満ちた体験を学校教育や、社会教育に十 二分に生かしながら、自然を私たち人類のかけがえのない財産として護っていこ うとするものです。
      危機に瀕する自然保護へ、新たな視座から解決策の提示をめざして
      難問を抱える学校教育へ、自然の教育力の積極的な導入をめざして
      問われる地球環境破壊へ、21世紀に生きる価値観の確立をめざして

豊かな教育力をもつ自然とは

 豊かな教育力を持つ自然とは、どのような自然を言うのでしょうか。鉢植えの チューリップも、水槽に泳ぐメダカも、自然には違いありませんし、子供たちが それなりに興味を覚える対象でしょう。しかし、未来に限りない大きな感動を伴 うものでなければなりません。こどもたちひとりひとりの無限ともいえる興味や 関心にどこまでも応えられる多様な自然こそ、豊かな教育力をもつ自然と言える のです。

自然の教育力発掘のための生態調査

 子供たちの無限の興味や関心を引き出し育んでいくプログラムを作るために、 徹底した、継続的な生態調査を欠かすことはできません。宮城県牡鹿半島の東端 に浮かぶ金華山は、人の手が加えられていないブナ・モミ・ケヤキ等を中心とす る原生林を残し、サルやシカ、鳥類など多くの野生動物が生息し、日本で自然の 多様性が最も良く保たれたフィールドの一つです。しかも、動植物の生態調査が 10年以上も地道に継続されています。今後も長期的な視野に立った生態調査を徹 底的におこない、蓄積された研究成果から、自然のもつ教育力を最大限に発掘し ようと考えています。

学校教育・社会教育との関連

 子供たちへの教育効果を検証するために、教育実践も必要となります。そこ で、金華山の自然全体を一つの教室と位置づけ、その教育力を活用し、現在の学 校教育や社会教育が担っている内容を補完するための、具体的方策を考案してい きます。そうすることで、従来の教育をカバーするだけでなく、新たな教育の内 容や形態を提示することも可能になるでしょう。

自然保護への新しい視座

 こうした自然の教育力が、各地域で学校教育や社会教育に十二分に活用されて いくためには、金華山のような多様性にとんだ自然が、それぞれの地域で確実に 保存され続けなければならないわけです。この点において、施設や設備を重視し たこれまでのあり方でなく、各地域の豊かな自然を丸ごと教育に活用しようとい うSNC構想は、地域や世代を越えた自然保護の明確な動機となるはずです。私た ちは、悲痛な叫びをあげる日本の自然と、狭い学校の一室に閉じ込められた日本 の子供たちとが、共に、おおらかさをうたい上げることのできる場を創造してい ければ、と考えています。
 
(宮城のサル調査会「スーパーネイチュアリングセンター、金華山を一つの例と して」から引用)
                                    
運用グループ:w3-env@ipc.miyakyo-u.ac.jp
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