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活動報告

遠隔地間のTV会議授業

安江正治*・奥山勉**

 

 本学の附属小学校と山梨大学の人間科学部附属小学校との教育交流の事業は文部・通産の両省の教育研究事業100校プロジェクトの頃から続いている。
また昨年度から、山梨大学附属小学校は、研究開発指定校事業(文部大臣指定)と光ファイバー網活用教育モデル校指定学校事業(文部省)の二つの事業を国内の幾つかの学校と共同で進めており、本学の附属小学校はその協力校の一つとなって、これまでの教育交流をさらに進め、総合的な学習における遠隔地校間の共同学習に取り組む試みを行っている。
 本年度は、昨年度に引き続き、6年生の総合的な学習の一環として「地域の交通システムと私たちの暮らし」に関連して遠隔地間のTV会議授業を開催した。
このTV会議授業に関連したスケジュールを表1に示す。
 この研究授業を進めるための技術的サポートを「附属学校との情報関連ワーキンググループ」として行った。

 今回のTV会議のための回線はISDN3回線(384kbps)で音声、映像の品質を改善したフェニックス回線で、昨年度のISDN一回線に比べて、映像の品質が改善された。
 この授業の様子は、VOD(Video On Demand)画像としてhttp://nib.csr.miyakyo-u.ac.jp/~semi/fu-syo/に、学内向けに公開されている。配信速度は40kbpsで、格納されているデータ容量は10MB。閲覧の便宜のため、10分間 x 5 = 50分間のデータとして編集した。
編集を担当したのは、情報数理専攻4年の柚口高志、高橋幸一の両君。
 また、フェニックス回線の準備は、NTT東日本宮城支店の支援によって行われた。

 今回の遠隔地間のTV会議授業をとおして、授業担当の先生方の授業への取り組みの熱意と指導力が、技術的サポートとして参加した大学生にも強い印象を与えた。また、子どもたちに、身近な交通システムの変遷を、過去数十年にわたる時間軸と、仙台と山梨という地域間の違いという空間軸の二面から、認識することになったとの印象を受けた。
 今回のTV会議授業の計画と授業の実践に関し、山梨大学教育人間科学部附属小学校の奥山賢一先生をはじめ本学の附属小学校の千葉潤一先生たちにお世話になりました。

-------( 表1:TV会議授業に関連したスケジュール)--------

9月 8日(金)午後 6:00〜  第1回目の事前打ち合わせ交信
11日(月)午前11:00〜  第1回目の本交信
午後 4:00以降 事後の反省交信
14日(木)午後 4:00〜  第2回目の事前打ち合わせ交信
16日(土)午前10:00〜  第2回目の本交信
終了後引き続き  事後の反省交信

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 本学の附属校と山梨大学の人間科学部附属小学校との教育交流は、附属校間だけでなく、本学の環境研のシステム分野と山梨大学の人間科学部の附属教育実践総合センター(文献1参照)のスタッフ有志の間でも行われている。
今回のTV会議授業に関する打ち合わせを進める中で、両センター間相互の研究協力の必要が提起され、山梨大学の教育実践総合センターの成田雅博たちの進めている「インターネットと教育」、「情報ネットワーク環境における授業づくり」(文献2参照)に呼応して、本センターの環境教育システム分野においてもいくつかの教育支援活動を始めることができた。
その一つは、前述の「附属学校との情報関連ワーキンググループ」の発足で、同グループの活動趣旨は

をめざすことである。
この支援活動の中から、

 - 附属校におけるサーバシステムのディスク内容の遠隔自動バックアップ
 - 附属校のネットワークへのダイアルアップサービスの運用
 - 附属校の太陽光発電システムの稼働状況のWebページ化のためのプログラム開発
 - ビデオデータ配信のためのリアルサーバの運用とコンテンツ開発整備

などがうまれた。詳しくは、文献3参照。
「附属学校との情報関連ワーキンググループ」は、附属中学校の鈴木朝二、菅原孝行、附属小学校の奥山勉、環境研の鵜川義弘、安江正治の5名で構成されている。
 その二は、対外的な活動で、学校教育における情報化の計画推進と支援活動を「情報コーディネータ」を研究室所属の阿部勲(大学院生、派遣教員)たちが研究活動の一環として行ったことである。前述のリアルサーバの運用とそれを使った教材開発も、阿部勲や柚口、橋本(環境研所属の大学院生)たちの主導的な研究活動の一環として行われ、文献4に詳しく報告されている。
 このように、遠隔地間のTV会議授業は、授業の相互交流に留まらず、関係組織の教育研究活動を活性化する効果のあることが示された。
 最後に、山梨大学と本学の附属小学校間のTV会議授業は、山梨大学教育人間科学部附属小学校の奥山賢一氏によって、提案され、両校の総合的な学習に関わる先生方の努力によって行われたことを付記しておきます。

参考文献:

1)山梨大学人間科学部附属教育実践総合センター
2)成田雅博、「インターネットと教育」
3)安江正治、鵜川義弘、今野幸典、
  「教育大学における高速ネットワークの運用と研究・教育支援 」
  情報処理学会第62回全国大会 論文集(2001) 第3分冊 p341-342
4)阿部勲、「学校内ネットワークの構築と利用に関する支援」
  宮城教育大学大学院教科教育専攻修士論文(2001年)

 

* 宮城教育大学教育学部附属環境教育実践研究センター
** 宮城教育大学附属小学校

 

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